2014年度は,これまで培ってきた映像投影技術に基づいて,より実践的な輝度補正やプロジェクションマッピング応用の研究に力を入れてきました.投影精度向上のための遅延補償や深度カメラの超解像度化等,新たな試みにも挑戦しています.

○修士論文
ProCam システムを用いた輝度補正の実用化に関する研究
プロジェクタのフォーカス制御を用いた動的な投影環境における焦点ボケの解消
動的なプロジェクションマッピングにおける遅延補償手法
高速な輝度補正と3Dモデルの投影によるバーチャ着せ替えシステム
動的環境におけるマルチプロジェクションシステムによる映像補正

○卒業論文
ProCamシステムを用いた実室内環境への映像投影
高解像なカラー画像を利用した深度カメラの超解像化
高解像度テクスチャ画像マッピングによる3次元形状モデル生成の検討
深度情報を用いた動的な空間型ARシステムの高速化
任意視点に対応したプロジェクションマッピングの実現


2013年度 研究成果一覧
2012年度 研究成果一覧
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2010年度 研究成果一覧
2009年度 研究成果一覧
2008年度 研究成果一覧
2007年度以前の研究成果一覧

電通大以外での研究活動.(佐藤研@東工大


image これまで研究を重ねてきた輝度補正技術を,小型の民生機器に実装することを前提に,必要な性能の検討および輝度補正アルゴリズムの改良を行いました.研究で用いるような高性能PCとは異なり,スマートフォンや組み込み用CPUでも十分な効果が実現できるようなアルゴリズムの検討を行いました.補正の高精度化に関しては,これまで用いてきた応答関数の構造を見直し,フィードバックを用いずに高精度な補正を実現しました.これにより,より簡易なハードウェアでも輝度補正の実現が可能になる道が開かれました.[Top]

image  プロジェクタは,様々な対象に対して映像投影できることから,多様なシーンでの利用が期待されています.しかし,レンズ光学系を介して投影されるため,物理的なフォーカス距離の制約を受けます.つまり,様々な距離の場所に映像を投影する際に,映像がぼけてしまう問題が発生します.

 そこで本研究では,Kinectを使って対象までの距離を動的に計測し,そにれ応じてオートフォーカスする機構を組み合わせると共に,点広がり関数PSFで近似したぼけカーネルを逆畳み込みすることで,動的なぼけ補償を実現しています.[Top]

 

【文献】Naoki Hashimoto, Hisanori Saito, Mie Sato, “Adaptive Deblurring of Image Projection on Multiple Targets”, Proc. of IWAIT&IFMIA2015, OS.14 (2015).

image 動いている対象に映像を投影する動的プロジェクションマッピングに大きな期待が寄せられていますが,解決すべき課題の1つとして,映像投影および各種処理に伴う処理時間・処理遅延による,映像の投影ズレが挙げられます.センシングや投影といったデバイスに依存する部分だけでも0.2秒程の遅延が存在するため,これを補償する技術が求められています.

 そこで本研究では,高速度赤外カメラのみを使って,非剛体にも対応した動き推定手法をGPU上で実現し,これから求めた動き予測結果を投影像に反映することで,投影ズレを大幅に低減することに成功しました.[Top]

 

【文献】酒巻 祥平,橋本 直己,“動的なプロジェクションマッピングにおける遅延補償手法”,映像情報メディア学会誌,Vol. 69,No. 9,pp. J278-284(2015).

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image 本研究では,橋本研究室で研究を続けている光学的補正(輝度補正)技術を,エンターテインメントに応用する試みに取り組みました.近年一部で盛り上がりを見せているコスプレに着目し,映像投影技術を使って,いつでもどこでも好きな衣装に着せ替えられるシステムを考案しました.光学的補正には1秒程度の補正時間が必要でしたが,これを大幅に高速化することで,動いている人物に対しても適用し,実際に来ている衣服の色や模様を動的に打ち消すことを可能にしました.デモでは,大人も子供もあこがれる伝統的ヒーローや、ネットで話題のキャラクターに変身してみました。まじめな用途としては,ファッションショーや試着システムなどへの応用が期待されます.[Top]

【文献】小川智史,橋本直己,“高速な輝度補正と人型3Dモデルの投影によるバーチャル着せ替えシステム”,映像情報メディア学会技術報告,ME2015-24,Vol.39,No.7,pp.235-240(2015).

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image 光学的補正(輝度補正)は,主には1台のプロジェクタと1台のカメラで実現されますが,近年では,より明るい投影像や広域への投影,全周囲投影等の需要も増加していることから,複数のプロジェクタを用いるマルチプロジェクションシステムへの発展が期待されています.そこで本研究では,Projector-Cameraシステムを複数組み合わせることで,効果的に輝度補正を実現するシステムを提案しました.空間形状を把握するセンサとしてKinectを使用することで,動的な変化にも対応した輝度補正を,より明るく高精度に実現します.[Top]

【文献】吉田卓矢,橋本直己,“動的環境におけるマルチプロジェクションシステムによる映像補正”,映像情報メディア学会技術報告,ME2015-22,Vol.39,No.7,pp.223-228(2015).


image 輝度補正技術を,実験室ではなく,より現実的なリビングルームで実現するための研究を行いました.リビングルームと実験室の違いは多々ありますが,本研究では,甘えを許さない強烈なコントラスト比を備えたカーテン模様に着目しました.実験室では,補正しやすい淡い色や緩やかな模様が用いられますが,このカーテン模様はエッジが明確で,背景とのコントラスト比も高く,さらには反射特性が特殊な糸が使われていたりします.本研究成果では,そのような過酷な環境においても,模様をきちんと消し去る補正能力を実現し,今後輝度補正技術を実用化していく上での大きな可能性を示すことに成功しました.[Top]

【文献】河阪幸機,橋本直己,三功浩嗣,内藤整,“位相シフト法を用いた光学的映像補正の高精度化”,映像情報メディア学会技術報告,ME2015-50,Vol.39,No.8,pp.57-60(2015).


image 近年,Kinect等の深度カメラと呼ばれる距離センサが急速に普及し,様々なアプリケーションと組み合わせて利用されています.しかし,元々がゲーム機用のインタフェースであったため,3次元計測装置としての分解能や精度はそれほど高くありません.これらの性能を向上させることができれば,組み合わせられるアプリケーションにおける性能も大幅に向上することが期待されます.そこで本研究では,同時に撮影されるフルハイビジョンクラスの画像の特徴を利用して,低解像度な距離画像の超解像化を試みました.通常の深度センサをそのまま使っただけで,より精度の高い距離画像が得られることから,様々なアプリケーションとの組合せ応用が期待されます.[Top]

【文献】Ryotaro Takaoka, Naoki Hashimoto, “Depth Map Super-Resolution for Cost-Effective RGB-D Camera”, Proc. of CyberWorlds (2015).


image 皆さんご存じのように,ゲームやテレビで3次元CGが多く用いられており,それが近年では,個人利用の領域においても拡大の兆しを見せています.誰でも簡単に3Dモデルが作成でき,それを使った映像表現が可能になりつつあります.そんな状況を鑑みて,本研究では,誰もが簡単に3Dモデルが作成可能になる方法について検討しました.従来用いられてきた複数の手法を比較検討することで,より効率的な手法の見極めに挑戦しました.[Top]


image 昨年から研究を行っている,動く物体への映像投影を可能にする動的プロジェクションマッピングですが,その物体追跡処理に時間がかっかルことが大きな課題でした.そこで,追跡に用いる点群データおよび実時間計測される点群データの両方を,それぞれの特徴を活かして効果的に削減することで,処理の高速化を目指しました.結果,同じPCを用いて3倍の実行速度を達成しました.3次元点群を用いた物体追跡および動的プロジェクションマッピングには,今後欠かせない手法となりました.[Top]

【文献】Ryo Koizumi, Daisuke Kobayashi, Naoki Hashimoto, “Acceleration of Dynamic Spatial Augmented Reality System”, Proc. of CyberWorlds (2015).


image いろいろなところで実施されているプロジェクションマッピングイベントですが,とても面白い反面,観察者との対話性の少なさに不満を感じることが少なくありません.

そこで本研究では,小規模なプロジェクションマッピングを対象として,観察者の視点に応じた映像投影の実現を試みました.一般的には,観察者の視点を追跡するためのセンサを頭部に装着する必要があるのですが,これを非接触で実現し,また事前計測で観察者の最適な視点位置を個々に算出しておくことで,効果的に運動視差を再現するシステムを実現しました.[Top]

【文献】浜口祐希,橋本直己,“非装着型視点追跡による3Dプロジェクションマッピングの実現”,映像情報メディア学会技術報告,ME2015-49,Vol.39,No.8,pp.53-56(2015).

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