映像世界に入り込む技術

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RESEARCH THEME 01

映像世界に
入り込む技術

Immersive Virtual Environments

映像に囲まれる体験を、
特別な施設から、日常の空間へ

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壁と床に海中の映像が広がり、体験者の前に大きなウミガメが映し出されている様子
IMMERSIVE VIRTUAL ENVIRONMENT壁と床に広がる映像が、体験者を包み込む
SPACE × PERCEPTION × INTERACTIONSCROLL TO EXPLORE ↓

OUR VISION

映像世界は、もっと身近になれる

CAVEから始まった没入映像を、
私たちが暮らす空間へ

1992年に提案されたCAVEは、人間自身を映像で取り囲み、映像世界の中に入り込む体験を切り拓きました。その後、没入型映像は大規模化・高性能化し、アートやテーマパークなどへと広がっています。

一方で、専用の空間や多くの装置を必要とする体験は、日常からはまだ遠い存在です。私たちは、等身大の仮想世界を、普段の部屋や身近な空間に溶け込ませる方法を研究しています。

手法を提案し、実際につくり、体験して、その効果を確かめる。この積み重ねを通じて、没入映像を日常のメディアへと近づけます。

1992 / CAVE映像に包まれる等身大の仮想世界の出発点
IMMERSIVE ENVIRONMENTS体験が広がる大規模施設・アート・テーマパークへ
OUR APPROACH日常へ溶け込む身近な空間で、自然に体験する

01 SPACE

部屋そのものを、
映像空間に

身近な空間を使った広域映像投影

いつもの壁や床を、等身大の映像世界への入口にする

専用のスクリーンに囲まれた設備から、普段過ごしている部屋へ。室内にもともとある壁や床を映像提示面として利用し、複数のプロジェクタの映像を補正してつなぐことで、空間全体を一つの映像世界へ変えていきます。

投影面の形状や映像の重なりを扱いながら、より少ない装置で広い範囲を覆う方法を探ります。

壁面・床面の利用 / 幾何補正 / 映像の接続
天井設備やドアのある室内の壁面に街並みを広く投影し、人物がその中に立っている実験風景
FIG. 01 / 身近な空間を使った広域映像投影室内の壁面を利用し、等身大の街並みが広がる映像空間をつくる。

02 PERCEPTION

人間の「見え方」から、映像空間を設計する

視覚特性を利用した効率的な映像提示

必要な場所に、必要な映像を届ける

広い視野のすべてに、同じ表示機能を持たせる必要はあるのでしょうか。私たちは人間の視覚特性に着目し、中心と周辺で映像の提示方法を変えることで、身近な装置による没入型映像環境を研究しています。

中心視野に立体映像を、周辺には広がりを

中心視野だけを立体視に対応させ、周辺には2D映像を提示します。立体視を担う範囲を限定することで、コンシューマ向けプロジェクタを用いた広域立体映像提示を実現しています。

注目する領域に、精細さを配分する

解像度の配分も、別の研究の切り口です。注目する領域には高解像度の映像を、周辺には低解像度の映像を提示し、装置の数と体験の質の両立を目指します。視線や頭部の動きから、次に見る場所を予測する方法も研究しています。

中心・周辺の役割分担 / 立体視 / 解像度の配分
体験者の前方に色付きの立方体の映像が広く投影された実験環境
FIG. 02a / 広域立体映像提示中心視野を立体視対応にした、コンシューマプロジェクタによる映像提示。
立体視対応の中心領域を3D、周辺領域を2Dとして示し、それぞれを拡大した比較図
FIG. 02b / 中心と周辺の提示方式中心視野は3D、周辺は2D。図中の二重像は立体視用の左右眼映像によるもので、通常の写真では体験時の立体感を再現できません。

03 OPTIMIZATION

複雑な設置を、
計算でほどく

プロジェクタ配置の自動最適化

どこに、どの向きで置けば、よく見えるのか

投影解像度、焦点ボケ、人によって生じる影、映像が届かない領域。プロジェクタの配置には、いくつもの条件が関わります。実空間の形状と装置の特性をコンピュータ上で再現し、位置と向きを自動的に探索します。

複数の条件を考慮する最適化から、投影されない穴を残さない配置へ。仮想空間で結果を確認しながら、実際の設置につなげる方法を研究しています。

解像度 / 焦点ボケ / 影・投影範囲
シーンAの自動配置シミュレーション。室内上部のプロジェクタと、壁面に投影された海辺の映像
FIG. 03 / プロジェクタの自動配置シミュレーション室内空間を再現したシミュレーション上で、計算で求めたプロジェクタの配置と投影結果を確認する。
部屋の3Dモデル→配置候補の探索→仮想投影で確認→実空間へ

04 TRANSITION

ドアの向こうに、
別の世界がある

現実から映像世界への自然な遷移

開く。覗く。くぐる。
その動作が、世界をつなぐ

映像の品質だけでなく、そこへ「どう入るか」も没入感を左右します。実物のドアとプロジェクションマッピングを組み合わせ、ドアの向こうに別の空間が広がる体験をつくります。

観察者の位置とドアの開閉角度を計測し、視点に合わせて投影する映像を変化させます。見慣れた動作を通して、身体ごと映像世界へ移る感覚を探ります。

体験者が実物のドアを開き、その向こうに投影された家具のある部屋を見ている様子
FIG. 04 / ドアを介した空間接続実物のドアを開くと、その向こうに別の空間が現れる。ドアの操作と映像空間をつなぐ体験。
  1. 01 ドアを開く
  2. 02 別世界を覗く
  3. 03 身体ごと入る

05 DEPTH

映像空間に、
もう一つの奥行きを

裸眼で体験する等身大の多層スクリーン

身近な空間で映像を大きく提示すると、スクリーンとの距離が近くなり、圧迫感につながることがあります。私たちは、特殊なメガネをかけずに奥行き感や飛び出し感を得ながら、近距離での圧迫感を和らげる方法を研究しています。

壁面の手前に透過スクリーンを配置し、前後二層に映像を分けて投影します。どの情報をどちらの層に届ければ、より自然に映像空間を体験できるのかを検討しています。

後層に中心映像、前層に周辺映像を提示し、観察者の視点で一つの場面として見る原理図
FIG. 05a / 二層への映像分離の一例中心の映像を奥の壁面へ、周辺の映像を手前の透過スクリーンへ。二つの層を通して、一つの場面として見えるように提示する。
透過スクリーンと室内壁面を使った実験環境で、キッチンの映像を投影している様子
FIG. 05b / 実験環境での投影透過スクリーンと室内壁面を用いた多層表示。静止画は装置と投影の様子を示すもので、体験時の奥行き感そのものを再現するものではありません。

EXPLORING DEPTH PERCEPTION

映像の分け方と、
見る位置の関係を探る

中心と周辺に分ける方式に加え、輪郭、空間周波数、シーンの奥行きに基づく分離も検討しています。層の間隔や観察距離、斜めからの見え方を確かめながら、提示方法を探ります。

中間段階の評価から

5名による主観評価では、1層投影と比べて奥行き感・飛び出し感が高まる傾向と、圧迫感の低減が報告されています。一方、斜め45度からの観察では違和感が高まる結果もあり、提示方法の改善を進めています。

BEYOND THE DISPLAY

特別な体験から、
日常のメディアへ

人間の視覚特性、映像処理、センシング、最適化。
それぞれの技術をつなぎ、映像世界に入り込む体験を、暮らしの中へ。

私たちは、身近な空間の可能性を広げていきます。

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橋本研究室 HASHIMOTO LABORATORY